東京防災アイデアワークショップに行ってきた
9/4 に実施されたオープンデータ利活用 防災アイデア ワークショップに参加した。
ネットのニュースか何かで見かけて、すぐに申し込んでみたのだが、 抽選とのことだったので、当たるかなぁと思ったいたら当選メールが来た。
当日は電車の遅延に巻き込まれ少し遅刻してしまった。
会場についてみると、すでに始まってはいたが、神武直彦氏が主催者挨拶と概要説明しているところで、まだ内容の説明には至っておらず支障はなかった。
参加者は約 40 人で 5,6 人づつチーム分けされていた。受付で所属チームを知らされたので、指定されたチームのテーブルに着いた。
プログラム
ワークショップのプログラムは次の通り。
- 主催者挨拶・概要説明
- イニシャルトーク
- チームビルディング
- フィールドワーク
- 昼食
- 午後のイニシャルトーク
- データサポートの説明
- アイデア創出のためのワークショップ
- 最終発表
- ドット投票
- 講評
- 表彰
- 閉会挨拶・写真撮影
- 閉会
イニシャルトーク
最初はインプットからということで、墨田区企画経営室情報システム担当課長 内田正代氏から「墨田区の特徴」ということで、ワークショップの開催地である墨田区の地域的な特徴や情報発信の取り組みの説明があった。
オープンデータは昨年から公開を始めており、区としても推進していくとのことで今後に期待だ。
オープンデータポータルサイト 墨田区公式ウェブサイト
最近、区のホームページをリニューアルしたとのことで、キーワード検索を中心のナビゲーションに変更したとことだった。 見てみると、従来の自治体のホームページのトップと言えば、ページのインデックスになっているところがほとんどだが、 墨田区のホームページでは検索ボックスが最初にある。そしてスマートホンでも使いやすそうなデザインとなっていた。 検索に慣れていない人が迷ってしまうのでは? と気になったが、メニューも備えており、一応、階層的に辿れるようだ。
続いて東京都総務局情報通信企画部情報通信施策推進担当課長 斎藤圭司氏より「東京都のオープンデータの取り組み」の説明があった。
まだまだ PDF 中心だが公開はしている(東京都オープンデータ一覧(試行版)|東京都)。
データを公開するとそれを使って、GD Freak のようなサイトが可視化したりして新たな気づきや価値の創造に繋がる可能性を感じており、今後、データを増やしていきたいとのことだが、なにぶん費用もかかるので... とのことだった。
特に防災ということでは東京都防災マップを公開しており、地理情報の上に載せて提供していきたいとのこと。 すでに、避難所やコンビニ、ガソリンスタンドなどはマッピングされており、東京での災害時には役立つだろうと思った。現在は PC 向けなデザインなので、スマホから使いやすい UI も用意してもらえればと思った。
チームビルディング & フィールドワーク
イニシャルトーク後は、チームでの活動。
チームメイトは、学生 1 人と社会人の混成チーム。学生は神武直彦氏のゼミの学生のようだった。
アイスブレークとして、6 つのマスに名前や日頃の防災活動、この夏のニュース等を書き込んでお互いに説明した。
その後、このあとのフィールドワークに出かけるコースの確認と、どのような観点で見て回るのか?といった点を軽く話し合ったあと
フィールドワークに出かけた。
フィールドワークは会場となっているリッチモンドホテル プレミア東京押上から墨田区役所までの指定コースを歩きながら話し合った観点で見て回るというものだった。早朝、雨が降っていたけれどフィールドワーク頃にはやんでおり、それほど日が照っていないので、まあまあの夏のフィールドワーク日和といったところか(暑いのは暑かったが)。
墨田区で防災というと、木造家屋が密集したいわゆる木密地域を思い浮かべるが、フィールドワークのエリアは、どちらかという住居よりも事業所が多いようだった。各所の案内図や防災設備(消化器や町内会の防災倉庫)などを写真に撮りながら歩き、墨田区役所を往復した。 歩いてみた感想としては、思ったより避難所の案内が少ないのと、公衆トイレも少ないなぁということだった。
会場まで帰ると昼食の時間で、ホテル 1F に入っているスーパーで惣菜とおにぎりを買って、チームメンバーとフィールドワークで見たものを話ながら食べた。
午後のイニシャルトーク
午後の最初は墨田区都市計画部危機管理担当防災課長 菅原幸弘氏から「墨田区の防災対策と課題」の話があった。
内容は「すみだ防災パンフレット 地震に備えて」を見ながら以下のような内容についての説明だった。
- 墨田区は関東大震災で被害が大きかった。
- 本所は江戸時代から都市部
- 向島は木密地区
- 地震以外の災害への対策は?
- 荒川が万一決壊すると2回床下で2週間水が引かないと言われる
- 識者から近年の意見を聞いている
- 既存の増水対策は割りと設備が整っている
- 複合災害への対策は?
- 区の基本計画で複合対策を意識し始めている
ワークショップ
いよいよ、このイベントのメインのワークショップ。テーマは「避難のためのアイデア」ということだったので、それに沿ったチームテーマをブレストしながらまずはアイデア出し。付箋にアイデアを書いてはホワイトボードに張り出した。30 ほどのアイデアが出たところで、メンバー全員で良いと思うアイデアに印をつけて評価。結局、避難所までのナビゲーションアプリという案でまとまった。
方向性が定まったところでブラッシュアップ。
このアイデアの課題としては次のような項目が挙がった。
- 災害時にしか使わないものなら、結局災害時にしか使われない
- ナビゲーションって、最初どっちに進めばよいかがわかりにくくない?
- ありがちなないようなので何かひとひねり必要
などなど。
これらに対して出たアイデアは次の通り。
- やっぱ墨田区ってどこからでもスカイツリー見えるよね! これを利用して方向示せばわかりやすいんじゃない?
- 普段は避難所の代わりに観光スポットを案内すれば、予めのインストールも促せるんじゃない
- アプリとしての特徴も出る!
というような議論をして、アイデアが固まって来たところで、 ステークホルダー分析と、体験スケッチボード分析していった。
ステークホルダ分析
ステークホルダ分析では、誰が運営するのか? サービスとして持続するにはマネタイズもできないとな。 などと考え次のように考えた。
体験スケッチボード
体験スケッチボードと言うのは今回初めて知ったのだが、「サービスの利用体験を、顧客の目線で感情豊かに捉えるための道具」でユーザ体験をステージに分けて、各ステージでのユーザの行動と思考を同時に考えてユーザの感情の変化を曲線で表す。そこからサービスに必要なもの・仕組みを考察するというもの。
今回作成した体験スケッチボードは次の様になった。
アプリの内容
ざっくりではあるが、アプリの内容は次の様に決まった。
- 通常時はスカイツリー周辺の観光案内アプリ
- 行きたい場所を選んで、スカイツリーにスマホをかざせは、AR チックに方向を矢印で示す
- 災害時には、スカイツリーにかざすだけで最寄り避難所を示す。
- スカイツリーと避難所の座標と、GPS による現在位置座標がわかれば方向を示せるのでオフラインでも機能する
- PUSH 通知で災害状況も通知できる
サーバサイドには次の仕組みが必要であろう。
- 観光スポット情報の管理
- 観光スポットに関連した広告の管理
- 避難所情報の管理と更新情報の発信
- 災害時の情報配信
発表
チームごとに、アイデアを発表。各チームの内容はざっくり次の通り。
- 災害時に表示が変わるデジタルサイネージ
- デジタルサイネージによる情報提供
- 避難弱者を救う地域医療 SNS
- バルーン型ディスプレイによる避難誘導システム
- 地元住民を活用した災害時情報提供
- スカイツリーを利用した避難所ナビ
- 避難所ナンバリング:コード統一システム
各チームともなかなかおもしろいアイデアが出ていたと思う。
特にチーム 4 のアドバルーン型のディスプレイで避難所に誘導するアイデアは、誰にでも 避難所の場所がわかりやすく示せ、興味深かった。
表彰
各チームのアイデアは参加者全員で評価した。 評価軸は次の 3 点。
- 実現性
- 革新性
- データ活用の有用性
我々のチームは、すぐにでも作れそうな内容だったので、実現性でトップとなり、賞品(慶応義塾のボールペン)を頂いた。 各評価軸毎の表彰のあとは最優秀の発表。 すでに自分たちは表彰されていたので、どのチームのアイデアが獲るのかなと思っていたら、最優秀も頂いてしまいました!
必要なオープンデータもすでに存在しており、すぐにでも実現できそうなことに加え、スカイツリーという象徴的なランドマークをうまく利用できている点が評価された。
優秀賞の賞品はスカイツリーのチケット。ただし、当日券(よく見たら、防災訓練用と書かれており、余り物だったのかな)。
感想など
個人的には優秀賞も貰ったし、楽しいイベントだった。
東京都が主催するオープンデータ活用イベントは初めてだったと思うが、今後も継続してほしい。 都側のオープンデータへの取り組みの活性化になると思う。
また、防災に限らず問題山積の東京都なので、こういったイベントから思わぬ解決や改善が生み出されるかもしれない。 しかも東京で住んだり、働いたりしている人々が、行政を利用、あるいは行政と協力してより良くしていこうという意識を高められるのは良いことだと思う。
小池都知事は情報公開を方針に掲げているが、データとして活用できる形で公開していただくよう願いたい。